米国金融緩和策QE3の始動

米国金融緩和策QE3の始動に向けて

QE2を停止するまでは封印されるだろうが、FRBにはQE3を展望した「景気減速シナリオ」が用意されていると私は考える。それは、今後原油高による所得の流出、需要減と、歳出カットによる需要減の影響で、今年後半から景気は減速するというものだ。

 

これまでFRBが提示してきた景気見通しは、今年も来年も3.5〜4%の成長が続くというものだったが、すでに原油は1バレル=100ドルを超え、ガソリンは1ガロン=4ドルをつけている。難航した今年度予算もようやく390億ごの歳出削減で合意したが、さらに債務の上限引き上げを通すには追加の歳出削減が必要になる。これらはいずれも当初の想定外のもので、それだけ景気の下振れ要因となる。いったんQE2をやめればヽ原油やコモディテイの価格引き下げを誘導し、QE3移行を早めるのではないか。

 

米国は経済的にも政策的にも行き詰まり感が否めない。こうした政策誘導以外にも、あらゆる事態を活用して米国の利益に結びつけることを考えているのではないか。

 

北アフリカ・中東の政情不安は、軍事産業の需要拡大や、新興市場へ流出した資金の米国還流に活用する。日本の大震災も、原発処理や東北被災地の支援の裏で、日本にも米国の苦境を助けるための協力を求めている。クリントン国務長官の来日は、単なる陣中見舞いとは思えないのだ。スマートフォンも活躍するであろう。

米国市場ではNYダウが500ドル超の大幅な下げとなり、3月16日以来の年初来安値を更新。下げ幅は、世界金融危機の最悪期だった2008年12月1日に記録した679.95ドル以来の下げ幅だった。これを受けて、シカゴ日経225先物清算値は9300円(大証比390円安)を割り込んでいる。本日の日本株市場は連鎖安となり、日経平均は6月17日の直近安値9318.62円との攻防になろう。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が景気下振れリスクに言及したことや、米国ではここ数日の経済指標が景気回復の減速を示しており、景気2番底懸念に。さらに週末には雇用統計が控えており、予想を下回る悪化ともなれば一段安の可能性もあるため、リスクを避ける狙いから押し目買い意欲は後退しそうだ。為替相場(FX)、株式市場の動向から目が離せない。