ドルに代わる最強通貨「金」

ドルに代わる最強通貨「金」

米国の現金通貨流通残高にFRBの当座預金残高を加えたドルのマネタリーベース、つまり中央銀行が管理できる貨幣量だ。

 

これを見るとりIIマンーショック後、いかに米国がドルを「増刷」してきたかが分かる。その結果、「ドルの。大津波々で米国内に信用不安を蔓延させ、ドル安を巻き起こしたばかりか、世界中にインフレを撒き散らした」。石油や銅などの資源価格は上昇し、「値上がり期待がなければ誰も買わないゼロ金利の金商品を急騰」(田代氏)させることになったのだ。金価格は現在、1慰=1500ドルを超えるに至った。

 

金の国際調査機関ワールドーゴールドーカウンシルの豊島逸夫・日韓代表は「アメリカ人は自国通貨ドルの変動に、これまでまったく無頓着だった。それがいま州単位、地方レベルでドルに対する不信感が浸透、拡散している」と指摘する。ユタ州では、連邦政府発行の金貨・銀貨を法定通貨とする法律を可決し、5月7日にも正式発効させるという。

 

つまり、ドル紙幣以外に米国造幣局が鋳造した金貨、銀貨を支払い手段、法定通貨として認定するというのだ。同様の動きは、コロラド、ジョージア、インディアナ、オクラホマ、サウスカロライナ、テネシーなど各州でも出ており、バージニア州では、州が独自の記念金貨、銀貨を鋳造できることを法制化したという。豊島氏は、「この動きは全米に広がっていく可能性がある」という。

 

ドルの信認が問われ、ドル基軸通貨体制が終わるということを想像できる人は少ない。貿易決済通貨としての利便性、世界最大の流動性と認知度、原油決済通貨、米国の持つ軍事力……。これらすべてがドルを基軸通貨たらしめている。つまり、ドルはいつでもどこでも使え、世界中の通貨と交換でき、資源が買え、戦争や内乱が起きてもドル建て資産は必ず回収できる「最強」の通貨だった。

 

基軸通貨であるための条件は、将来も基軸通貨として通用するという予想が広く共有されることのみ。
ドルのその信認の土台が揺らぎ始めている。

米国市場ではNYダウが500ドル超の大幅な下げとなり、3月16日以来の年初来安値を更新。下げ幅は、世界金融危機の最悪期だった2008年12月1日に記録した679.95ドル以来の下げ幅だった。これを受けて、シカゴ日経225先物清算値は9300円(大証比390円安)を割り込んでいる。本日の日本株市場は連鎖安となり、日経平均は6月17日の直近安値9318.62円との攻防になろう。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が景気下振れリスクに言及したことや、米国ではここ数日の経済指標が景気回復の減速を示しており、景気2番底懸念に。さらに週末には雇用統計が控えており、予想を下回る悪化ともなれば一段安の可能性もあるため、リスクを避ける狙いから押し目買い意欲は後退しそうだ。為替相場(FX)、株式市場の動向から目が離せない。