再び意識され始めた「不均衡」

再び意識され始めた「不均衡」

米国財政を巡る一連の動きは、世界が直面している古くて新しい「グ  ローバルーインバランス(不均衡)」という問題を改めて意識させた。

 

世界のGDPの約4割を占める米国は世界最大の借金を抱え、この借金を米国債の購入という形で日本と中国が支えている。日中は工業製品を米国に輸出し、その代金はまた米国に向かうことで、世界の経済は成立っている。これは非常に危うい均衡なのだ。

 

この均衡が、3月い11日に東日本大震災に襲われた日本の国力低下で維持不能になる恐れが出てきた。現在の米連邦債務14.2兆ドルのうち、米政府内で運用する年金信託などを除き、市場で流通する米国債は約9兆ドル。このうち約4.4兆ドルを海外が保有し、中国(香港を含む)が2月末で約1.3兆ドル、日本が同約9000億ドル保有している。

 

つまり日中で米国債の海外保有分のほぼ半分を支えているのだ。さらにQE2の結果、FRBの国債保有高は1.1兆ドルを超えた。そのQE2も6月に終了する。米国債を買い支えてきた日本は3・11後、工場の被災やサプライチェーンの分断、電力不足の影響などで大打撃を受けている。3月の鉱工業生産指数は、全業種で減産を余儀なくされた結果、前月比15・3%減と過去最大の下げ幅になった。

 

輸出が急減する一方、復興需要による資材購入や、原発代替の資源確保で輸入は急増し、4〜6月期以降、貿易赤字に陥る可能性が指摘されている。米国債を買い支えてきた日本の経常黒字が大幅に減少することは確実なのだ。さらに復興投資のために、企業がため込んできた法人貯蓄が取り崩されたり、復興融資で銀行の日本国債の購入余力が落ちれば国内での国債消化にも黄信号が灯り、「日本国債消化を海外に頼る状況に陥るかもしれない」(大手生保)。

米国市場ではNYダウが500ドル超の大幅な下げとなり、3月16日以来の年初来安値を更新。下げ幅は、世界金融危機の最悪期だった2008年12月1日に記録した679.95ドル以来の下げ幅だった。これを受けて、シカゴ日経225先物清算値は9300円(大証比390円安)を割り込んでいる。本日の日本株市場は連鎖安となり、日経平均は6月17日の直近安値9318.62円との攻防になろう。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が景気下振れリスクに言及したことや、米国ではここ数日の経済指標が景気回復の減速を示しており、景気2番底懸念に。さらに週末には雇用統計が控えており、予想を下回る悪化ともなれば一段安の可能性もあるため、リスクを避ける狙いから押し目買い意欲は後退しそうだ。為替相場(FX)、株式市場の動向から目が離せない。